
消防用設備等の点検の重要性とは?人命を守る法定義務の基礎知識
ビルや商業施設、マンションなど多くの建物に設置されているスプリンクラーや火災報知機などの消防・防災設備は、火災の際に人命を守るための大切な設備です。しかし、いざというときに機能しなければ、意味がありません。
最近でも都市部のビル火災が大きく報道され、消防用設備等の点検の重要性があらためて注目されました。万一のときに消防用設備等が動かなければ、人命や財産だけでなく、ビルオーナーさまご自身の信用まで失うリスクがあります。
火災の際に消防用設備等を確実に作動させるには、定期的な点検やメンテナンスが重要です。この記事では、消防用設備等の点検未実施によるリスクや具体的な点検内容などについて解説します。
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目次
消防用設備等の点検未実施による2つのリスク
まずは、法的に義務付けられている消防用設備等の点検を怠った場合に生じる2つのリスクについて解説します。
火災時の人命リスク
消防用設備等の点検を怠ると、万が一、火災が発生した場合、未点検による不具合が原因となり、設備が正常に作動しないことで、人命に深刻な影響を与える可能性があります。
スプリンクラーが作動しなければ消火が困難となり、火災の拡大を防げません。火災報知機の不具合により音が鳴らない場合、火災の発生に気づくまでに時間を要し、逃げ遅れが発生する可能性が高まります。
また、誘導灯が機能しなければ、建物内で避難経路がわからなくなり、適切に避難できなくなります。
このような設備不良が起因し、本来防止できるはずの死傷者を出す可能性があります。特に高層建築物や多数の人が利用する施設では、被害が甚大になる恐れがあります。
ビルオーナーさまに課される法的リスク
消防法第17条の3の3により、建物の所有者や管理者には消防用設備等の定期点検実施が義務付けられており、これを怠ると法的責任を問われます。
点検未実施や虚偽報告には30万円以下の罰金や拘留が科される可能性があります。また、点検不備が原因で火災被害が拡大した場合、業務上過失致死傷罪に問われるリスクもあります。
さらに、民事上の損害賠償責任が発生した場合、被害者やその遺族から多額の賠償金を求められる可能性もあります。
消防用設備等の点検の義務

次に、消防用設備等の点検に関する基本的な義務内容について詳しく解説します。
消防法に基づく点検・報告義務
消防法第17条の3の3により、消火器などの消防用設備等が設置されている建物では、定期点検が義務付けられています。
点検には、機器点検(6ヵ月ごと)と総合点検(1年ごと)に分かれます。
点検結果は消防署への報告が必要で、報告頻度は建物用途により異なります。特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回の報告が必要です。
「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」の違い
以下の表は、「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」における主な施設例です。

特定防火対象物とは、不特定多数の方が利用する施設、または火災発生時に避難が困難な方の入所施設等、人命におよぼす危険性が高い用途を持つ防火対象物のことです。
これらの施設は火災時の避難が困難で被害が拡大しやすいため、厳格な基準が設けられています。一方、非特定防火対象物は共同住宅、事務所、工場、学校など特定の人が利用する建物を指します。
消防用設備等の点検の内容とは
消防用設備等の点検では、建物に設置されたさまざまな消防用設備等が対象になります。例えば、オフィスビルの場合、「自動火災報知設備・消火器・屋内消火栓設備・スプリンクラー設備」など、多岐にわたる設備の点検が必要です。
ここでは代表的な設備として、消火器のおもな点検内容を詳しく見ていきましょう。

このように、消火器1つをとっても、設置状況から外観、内部機能、耐圧性能まで、多岐にわたる点検項目があります。
ほかの消防用設備等についても同様に詳細な点検が実施されるため、専門的な知識と技術が必要となり、有資格者による確実な点検が重要になります。
消防用設備等の点検を行なうために必要な資格
消防用設備等の点検や整備は、一定の条件に該当する場合、消防法により有資格者が実施することが義務付けられており、業務内容に応じて「消防設備士」と「消防設備点検資格者」の資格が必要です。
・消防設備士(甲種・乙種)
消防用設備等の点検に加えて、甲種は整備と工事、乙種は整備を行なうことができます。
・消防設備点検資格者(1種・2種・特種)
消防用設備等の点検業務を専門に行なうことができます。
次の表は、各資格で確認できる消防用設備等の詳しい内容です。

※工事は甲種のみ可能 参考:消防庁「消防設備士免状の交付を受けている者又は総務大臣が認める資格を有する者が点検を行うことができる消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類を定める件」を加工して作成
一定の規模以下であり、特定の建物用途・設備に該当しない場合に限り、消防設備士や消防設備点検資格者以外の者が消防設備等の点検を実施することが認められています。
しかし、適切な資格を保有した専門企業に依頼することで、法令遵守はもちろん、入居者の安心・安全もより確実に担保できます。
無資格者による点検は法令違反となるため、適切な資格を持つ専門企業に依頼することが重要です。自社スタッフでの対応は資格要件や責任の面でリスクがともなうため、専門企業への委託をおすすめします。
消防用設備等の点検の流れ

ここからは、消防用設備等の点検の流れを解説します。
1.点検の依頼
建物所有者や管理者が消防用設備等の点検の専門企業に点検を依頼します。
↓
2.点検の実施
機器点検(6ヵ月ごと)と総合点検(1年ごと)を実施し、各設備の機能や状態を詳細に確認します。
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3.報告書作成
専門企業が点検結果報告書を作成し、管轄地域の消防署に提出します。
↓
4.不備の改善
必要に応じて消防用設備等の修理や交換を実施します。
オーナーさまがこの一連の流れを適切に管理することで、法定点検の義務を確実に果たすことができ、利用者の安全確保に向けた重要な第一歩となります。
ただし、点検の結果により、不備が見つかった際は火災が起こった場合、被害が拡大する可能性があるため、迅速な改善が必要です。改善後に再度点検を行い、適切に機能しているかの確認が重要です。点検により見つかった不具合箇所を修繕または改修し、再点検することで、人命を守ることにもつながります。点検を怠らず法令を順守し、安全確保を実現しましょう。
実効性のある消防用設備等の点検を実現するには
消防用設備等の点検を形式的な作業で終わらせないためには、技術的な側面だけでなく、組織としての取り組みが重要です。
点検内容を理解し現場へフィードバックする
消防用設備等の点検を受けた際は、報告書を受け取るだけでなく、専門企業からしっかりと説明を受けることが大切です。専門用語はわかりやすく説明してもらい、不備がある場合はどの程度緊急性があるのかを確認しましょう。
建物の現場スタッフも同席して説明を聞くことで、日頃から適切な管理ができるようになります。法定点検に加えて日常的な点検も実施すると、設備の異常を早期発見でき、建物全体の安全性を高めることが期待できます。
日常点検についての関連コラム「ビルの日常点検とは?3つの重要性とオーナーさまの悩み解決手法」
利用者の安全を最優先とする点検体制を構築する
単に法定点検項目をチェックするだけでなく、建物の実際の使用状況を踏まえた配慮が必要です。例えば、夜間利用の有無、混雑する時間帯、高齢者や子供の利用状況などの情報を専門企業と共有し、建物の特性に応じた安全管理のアドバイスを求めましょう。
法定基準を満たすことは元より、建物の用途や利用者の特性を踏まえた安全管理が実現でき、利用者にとってより安全で安心な環境を提供できます。
「消防用設備等の点検」のご相談は大阪ガスファシリティーズ・阪和総合防災へ
消防法に基づく定期点検は、火災時の被害を最小化し、建物利用者の安全を守るための必要不可欠な義務です。適切な資格者による点検、または改善までの確実な実施が、法令遵守と企業の社会的責任を果たすことにつながります。
また、形式的な点検から脱却し、点検結果を現場の安全管理に活かす体制づくりが重要です。
大阪ガスファシリティーズ、子会社の阪和総合防災(https://www.hanbou.co.jp)では多数の消防設備士資格保有者が在籍し、点検・整備・工事までワンストップで対応できる体制を整えています。豊富な経験と専門性の高い技術力により、お客様の建物に最適な消防用設備等の点検サービスを提供しています。消防用設備等の点検に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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