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ビル施設管理担当者の定年退職がもたらす影響とは?5つの解決法

ビル施設管理担当者の定年退職がもたらす影響とは?5つの解決法

「定年退職により、ビルの設備の保守点検を担う人材確保が難しくなっている」「慢性的な人手不足により業務の継続が危ぶまれている」このような悩みを持つビルオーナーさまもいるのではないでしょうか。

ビルの設備管理の現場では、熟練した技術を持つ担当者の定年退職により、人材不足が深刻化する懸念が高まっています。とりわけビルの設備保守点検を担う人材が減少すれば、日常の安全性や快適性の維持にも影響しかねません。

こうした課題に対応するには、定年延長や再雇用制度の活用、若手社員の早期育成、ビル管理会社への業務委託といった取り組みが挙げられます。

この記事では、ビルの施設管理担当者の高齢化にともなう課題と対策法について解説します。ビル管理業務の委託先を選ぶ際のポイントや、大阪ガスファシリティーズの「UFMサービス」についても紹介します。

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施設管理担当者の高齢化と直面する課題

昨今、「2030年問題」が社会に与える影響が懸念されています。2030年問題とは、少子高齢化の進行により、2030年頃に日本社会が直面すると予測されるさまざまな課題を指し、なかでも労働人口の減少が大きな問題とされています。

総務省統計局の発表によると、総人口が減少するなか、令和6年時点で65歳以上の人口は3,625万人と過去最多を記録しました。また、令和5年時点では65歳以上の就業者数は20年連続で増加し、914万人と過去最多に達しています。

                                 出典:総務省統計局 報道資料「統計トピックスNo.142統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」令和6年9月15日                                      (https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics142.pdf)

しかし、これは一時的な現象に過ぎません。現在働いている高齢者もいずれは退職を迎えるため、長期的に見れば多くの業界で人手不足がさらに深刻化すると予想されます。

ビル管理業界も例外ではなく、従事者の高齢化が進むなかで、主要な施設管理担当者の定年退職にともなう人的、技術的な空洞化が懸念されています。ビル管理においては、熟練技術者の退職によって以下のようなリスクが考えられます。

1. 労働力の不足
若年層の労働力人口が減少しているため、退職者の代替となる人材の確保が困難になるリスク

2. 技術・知識の喪失
長年の経験と専門知識を持つベテラン管理者の退職により、技術やノウハウの継承が滞るリスク

3. 業務効率の低下と労働災害の発生
人手不足により、業務の効率化が求められる一方で、安全確保への配慮が疎かになり、労働災害のリスクが高まるリスク

施設管理担当者の定年退職に備える5つの対策法


ここからは、施設管理担当者の定年退職に備えるための5つの対策法について解説します。

定年延長や再雇用制度の導入

定年を延長すると、経験豊富な施設管理担当者が引き続き働ける環境を整えられるため、技術や知識の継承を円滑に進めることが可能になります。

また、再雇用制度を取り入れれば、定年後も働く意欲のある施設管理担当者が現場に継続的にかかわることができ、業務の安定にもつながります。さらに、施設管理の経験者が継続して働いてくれることで、次世代への橋渡しをスムーズに行なえるといったメリットもあります。

技術継承のためのマニュアル作成

マニュアルを作成すると、作業の標準化が図られるため、特定の個人に依存しない安定した組織体制の構築が可能です。特に、画像や動画を取り入れたマニュアル化により、言葉では伝えづらい実務のノウハウを共有する手段として有効です。

マニュアルは一度作成して終わりではなく、業務内容や技術の変化に応じて随時更新し、組織全体で共有することが重要です。

若手社員の育成と早期登用

若手社員の育成と早期登用は、将来的な人材不足に備えるための重要な施策です。まずは、計画的な研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて実務経験を積ませ、業務への理解を深めていきます。

OJTとは、職場内で実際の業務に携わりながら、上司や先輩が指導役として知識や技能を伝える教育方法です。将来の施設管理者候補には、段階的に責任ある業務を任せ、リーダーシップを育てる環境を用意します。

さらに、資格取得の支援や外部研修の活用により、専門性の高い知識や技術の向上を図ることも重要です。

IT・IoT技術の活用

例えば、設備や機器にセンサーを設置すると遠隔での監視や操作が可能になり、現場に足を運ぶ手間を大幅に削減できます。また、設備の稼働状況や消費電力、温度といったデータをリアルタイムで収集、監視することで、異常や故障の兆候を早い段階で把握できるため、予防保全にもつながります。

IT・IoT技術を活用し、ベテラン管理者の知識や経験をシステムに落とし込めば、技術の継承をよりスムーズに進められます。

予防保全についての関連コラム「予防保全とは?メリットと課題・実現するためのステップ

ビル管理会社への業務委託

これまで施設管理を担ってきた熟練の技術者が定年退職し、知識やノウハウの継承が進まない場合、ビルの資産価値に影響が出るおそれがあります。こうした状況への対応策として、ビル管理会社への業務委託が有効です。

専門的な知識と豊富な経験を持つプロフェッショナルが、定年退職したベテラン社員に代わって管理業務を担うことで、安定した管理体制の確保や、資産価値の維持が期待できます。

さらに、ビルオーナーさまや社内スタッフの負担を軽減できるため、限られたリソースをコア業務に集中させやすくなります。ただし、委託先の選定やコスト管理は慎重に行なう必要があり、信頼できるパートナーとの関係構築が重要になります。

外部委託を見据えた業務整理と準備の重要性

外部委託を検討する際は、現場業務をスムーズに移行するための準備が必要です。特に業務仕様書や引継ぎ用のマニュアル整備には時間を要するため、入札や委託先の選定も含めて半年程度の準備期間を確保することをおすすめします。

現行業務の詳細な把握から始め、業務内容の洗い出しや文書化、仕様書の作成、委託先の選定、引継ぎといった工程を段階的に進めるには、全体で1年半から2年程度かかるケースも珍しくありません。

仮に担当者の定年まで半年を切っている段階で準備に取りかかっても、外部委託への移行を円滑に進めるのは難しくなります。リスクを避けるためにも、余裕を持ったスケジュールでの計画と早期の着手が重要です。

ビル管理を外部委託する際の選定ポイント


次に、ビル管理を外部委託する際に気をつけるポイントについて解説します。

信頼性・実績

ビル管理業務を外部に委託する際は、これまでの管理実績を確認し、自社ビルと同規模、同業態の物件を扱った経験があるかどうかを確認しましょう。長期契約の実績が豊富な企業であれば、安定した品質のサービスを提供している可能性が高くなります。

また、万が一の契約途中でのサービス停止を避けるためにも、経営状況や財務面の安定性も確認しておくとよいでしょう。

口コミや第三者機関による認証なども重要な参考材料です。これらは、トラブル発生時の対応力や報告体制の整備状況を見極めるうえでも役立ちます。

提供サービスの範囲と対応力

清掃、設備管理、警備など、希望する業務に対応しているかを事前にチェックしておきましょう。併せて、緊急時の迅速な対応や24時間のサポート体制の有無も重要な判断材料です。

定期点検や報告の仕組み、改善提案への積極性なども確認しておきたいポイントです。サービス内容が不十分な場合、別途ほかの管理会社への手配が必要になり、結果としてコストや手間がかさむリスクもあるため、契約前の見極めが大切です。

コストと契約内容の透明性

委託先を選ぶ際は、コストだけでなく契約内容の透明性にも注目する必要があります。まずは相場を把握し、複数のビル管理会社を比較することで、適正な費用感をつかみやすくなります。

極端に安価なプランは、サービスの質が十分でない可能性もあるため注意が必要です。また、追加料金の発生条件や契約期間、解約時の違約金といった項目が明確に提示されているかどうかも重要なチェックポイントです。

コストの安さだけにとらわれず、契約の内容や対応の誠実さも含めて総合的に判断することが、ビルの長期的な安定運用につながります。

デジタル化への積極性

管理業務の効率化や情報共有の精度を高めるためには、デジタルツールの活用に積極的な委託先を選ぶ視点も欠かせません。

例えば、点検結果や報告書類をクラウド上で一元管理できる仕組みがあれば、必要な情報へいつでもアクセスでき、運用の透明性が向上します。また、業務履歴の蓄積やデータ分析を通じて、将来的な修繕計画や改善提案も進めやすくなります。

大阪ガスファシリティーズが提供する「FACi-NAVi」もその一例で、建物に関する情報を一元管理し、報告業務の効率化と資産管理の精度向上を支援します。このように、デジタル対応の有無も委託先を選定する際の重要な検討材料です。

 


FACi-NAViについての関連コラム「ビル建物のデータを一元管理するメリットと具体的な業務

大阪ガスファシリティーズの施設管理とオーナー代行サービス「UFMサービス」とは?

現場の施設管理担当者が定年退職などで不在になると、自社で管理業務を継続するのが難しくなるケースもあります。そうした状況では、外部委託を検討するビルオーナーさまもいらっしゃるのではないでしょうか。

1989年設立の大阪ガスファシリティーズは、Daigasグループの一員として、総合ファシリティマネジメントサービスを展開しています。オフィスビルや工場・研究施設、医療・福祉施設、流通・商業施設、教育施設、マンションなど、幅広い物件の管理実績を持ち、さまざまなニーズに対応してきました。

こうした豊富な実績と技術力をもとに、施設管理担当者の不在による人材不足にも柔軟に対応できる体制を整えています。

さらに大阪ガスファシリティーズでは、施設管理業務に加え、これまでビルオーナーさまが行なっていた仕様書の作成や台帳の管理、修繕計画の立案などの業務を、オーナー代行「UFM(ユーティリティ・ファシリティ・マネジメント)サービス」を通じて効率的にサポートしています。

大阪ガスファシリティーズが提供するオーナー代行「UFMサービス」は、ビルオーナーさまの目線に立ち、施設管理業務の効率化と収益性の向上を支援するサービスです。

UFMは、次の4つのサービスメニューで構成されています。

1. データ・マネジメント(DM):所有建物の図面や設備台帳をデジタルで管理

2. エネルギー・マネジメント(EM):省エネにつながる運用改善やエネルギー管理

3. ビル・マネジメント(BM):設備、清掃、警備など維持管理業務のコストを最適化

4. コンストラクション・マネジメント(CM):修繕や大規模改修などオーナーさまの業務を代行

UFMサービスは、こうした各分野を一体的にカバーすることで、施設管理を幅広くサポートします。施設管理担当者の定年退職により業務継続が難しくなる場面でも、UFMを活用することで業務体制の構築や効率化が期待できます。

「ビル管理・オーナー代行サービス」のご相談は大阪ガスファシリティーズへ

労働力人口の減少が進むなか、ビル管理業界でも定年退職にともなう人材不足が課題となっています。施設管理担当者の高齢化により、技術や知識の継承に加え、業務の効率化、安全性の確保、サービス品質の維持が求められます。

このような状況への対策には、定年延長や再雇用の活用、技術マニュアルの整備、若手人材の育成、IT・IoTの導入、さらには外部委託の活用などが有効です。なかでも外部委託を検討する際は、委託先の信頼性や実績、対応可能な業務範囲、契約内容の透明性などを事前にしっかり確認しておきましょう。

大阪ガスファシリティーズでは、施設管理業務を包括的にサポートする体制を整えており、定年退職による人材不足への対応も視野に入れた柔軟なサービスを提供しています。

ビル管理の体制見直しや業務委託をご検討の際は、大阪ガスファシリティーズへお気軽にご相談ください。

ビル管理・オーナー代行サービスに関する問い合わせは大阪ガスファシリティーズへ

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