
フロン規制が強化される理由|放置するとどうなる?
優れた物理特性を持たせるために開発されたフロン類(フルオロカーボン類)は、長年にわたりエアコンや冷蔵・冷凍設備などの分野で広く使用されており、ビル設備を管理するうえで日常的に使われている物質でもあります。
しかし、近年、地球温暖化への影響やオゾン層破壊といった環境問題との関係が明らかになり、フロン排出抑制法が制定され、製造や輸入・排出が規制されています。
このようにフロン類の規制が強化されるなか、「なぜここまで規制が厳しくなっているのか」「ビルオーナーや管理者として何を対応すべきなのか」こうした疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
フロン類は、適切に管理しなければ、法令違反のリスクだけでなく、環境負荷の増大や企業評価への影響にもつながります。
この記事では、フロン類が環境に与える影響、規制の背景と枠組み、ビル管理における対応ポイントなどについて解説します。
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目次
冷媒の概要と主な種類(フロン類・自然冷媒)
エアコンや冷凍・冷蔵設備の「冷却する機能」として冷媒(冷媒ガス)が使用されています。冷媒にはさまざまな種類がありますが、その代表的なものがフロン類です。
フロン類は、「特定フロン(CFC・HCFC)」と、「特定フロンの代替として開発された代替フロン(HFC・HFO)等」の大きく2つに分類されます。
さらに近年では、環境負荷の少ない「自然冷媒」も注目されています。自然冷媒とは、二酸化炭素やアンモニアなど自然界に存在する物質を冷媒として利用したものです。

フロン類が環境に与える影響
まず、フロン類がなぜ問題視されているのか、ここでは代表的な2つの環境影響を解説します。
オゾン層破壊のメカニズム
オゾン層は地球の空の高いところにあり、紫外線を防ぐ大切なバリアのようなものです。ところが、特定フロンが大気中に放出され、成層圏まで到達すると、紫外線を吸収・分解し、塩素を放出します。この塩素が触媒として作用し、オゾン層を次々に破壊します。
1つの塩素は何万個ものオゾンを破壊することができるので、オゾン層が薄くなることで地上に到達する有害な紫外線が増加します。紫外線の増加は、白内障や皮膚がんなどの健康被害や、生態系への影響をもたらすとされています。
地球温暖化への影響
特定フロンは、エアコンや冷蔵・冷凍庫などの冷媒として広く活用されてきました。しかしのちに、オゾン層を破壊する作用に加え、地球温暖化にも深刻な影響を与えることが明らかになりました。
特定フロンは二酸化炭素の数百倍から1万倍以上の温室効果を持つため、業務用空調機器等からの微量な漏洩であっても地球温暖化に影響を与える可能性があります。
このような背景から、オゾン層保護と地球温暖化防止の両面で、適切な管理が求められているのです。
特定フロンと代替フロンの違いと注意点
次に、特定フロンと代替フロンについて解説します。
特定フロンは、オゾン層を破壊し、様々な環境問題を引き起こすことから、日本では、クロロフルオロカーボン(CFC)は1996年以降、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は2020年以降に製造が原則として禁止となっています。
代替フロンとして開発されたハイドロフルオロカーボン(HFC)は、塩素を含まないため、オゾン層を破壊しないことから転換が進められましたが、強力な温室効果ガスであるという問題を抱えています。
環境省によると、例えば、ビル用エアコン1台分のフロンが漏洩した場合、約50トン分の二酸化炭素に相当する温室効果があります。
つまり、代替フロンはオゾン層保護には有効でも、地球温暖化対策としては大きな課題を抱えているのです。
こうした背景を踏まえ、近年では、HFCに代わる次世代冷媒として、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)が導入されつつあります。
HFOは、HFCと同様に塩素を含まないためオゾン層を破壊しない一方で、地球温暖化係数(GWP)が非常に低いという特長を持っています。
HFOはオゾン層保護と地球温暖化対策の両立を図る冷媒として注目されています。
なお、GWPとは、二酸化炭素を基準として、他の温室効果ガスがどの程度地球温暖化に影響を及ぼすかを示す指標であり、GWPの値が低いほど温室効果は小さくなります。
フロン類規制の枠組み
フロン類の規制は国際的な取り決めから始まり、日本国内でも段階的に法整備が進められてきました。ここでは、フロン類の規制の具体的な枠組みについて見ていきましょう。
国際的な規制の流れ
オゾン層保護に向けた国際的な枠組みは1985年に採択・1988年に発効した「オゾン層の保護のためのウィーン条約」により整備されました。さらに1987年に採択された「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が1989年に発効したことで、フロン類の本格的な国際規制の枠組みが構築されました。
代替フロンとして普及したハイドロフルオロカーボン(HFC)も温室効果が極めて高いことから、2016年のキガリ改正で新たに規制対象となっています。
日本を含む先進国は、2036年までにハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産・消費量を85%削減する目標が課されています。
フロン排出抑制法の基本
フロン排出抑制法は、業務用空調機器や冷凍・冷蔵設備などに使用されるフロン類の排出を抑制するため、機器の製造から使用、廃棄まですべての段階で適切な管理を求める国内法です。
2015年4月に施行され、正式名称は「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」といいます。
同法では、業務用空調機器や冷凍・冷蔵設備等を使用・管理する事業者等を「管理者」と位置づけ、フロン類の適切な管理を義務付けています。
管理者には、フロンの漏えいがないかなど機器の状態を把握するための定期的な簡易点検の実施や、一定規模以上の機器については十分な知見を有する者による定期点検が義務付けられています。

併せて、点検記録の保存や、機器廃棄時におけるフロン類の確実な回収も必要とされています。さらに、2020年4月の法改正により、これらの義務に違反した場合には直接罰則が科される可能性があるなど、管理体制の重要性が一層高まっています。
SDGsの観点からフロン類規制が重要視される理由

フロン類の削減は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた重要課題として位置づけられています。ここでは、フロン類とSDGsとの関連性について解説します。
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」との関連
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」は、気候関連災害や自然災害への対応力強化、気候変動対策の政策への組み込み、教育・啓発の推進などを掲げています。
地球温暖化のおもな原因は、経済活動によって排出される二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスです。フロンガスも温室効果ガスの一つであり、その排出抑制は気候変動対策の一環として重要な取り組みとされています。
フロン類の規制への対応は、単なる法令遵守にとどまらず、世界全体で取り組むべき気候変動対策の取り組みと整合するものです。企業の環境責任としても重要なテーマであり、適切な管理と排出削減により、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。
関連するSDGs目標とのつながり
フロン類の規制は目標13だけでなく、ほかのSDGsの目標とも関連があります。
・目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
省エネ性能の高い空調設備への更新や、グリーン冷媒(次章参照)を採用した機器の導入は、環境負荷低減に資する取り組みです。
・目標12「つくる責任つかう責任」
製品ライフサイクルを通じた化学物質や廃棄物の環境上適正な管理が求められており、フロン類を使用する機器の適切な点検・管理や、廃棄時の確実なフロン類の回収はこの考え方に沿った取り組みです。
このように、フロン類の管理は複数のSDGs目標達成に同時に貢献できます。
環境負荷低減に向けた冷媒として使用されるフロン類対策の方向性

上述のとおり、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」により、先進国では特定フロン(CFC・HCFC)の生産が既に全廃となっています。
代替フロンについても規制が本格化しており、日本は2036年までに生産・消費量を85%削減する国際義務を負っています。
こうした流れのなかで、地球温暖化や環境への影響が少ない「グリーン冷媒」が注目されています。グリーン冷媒とは、地球温暖化係数(GWP)が低く、オゾン層を破壊しない次世代の冷媒を指します。
具体的には、自然冷媒である二酸化炭素(CO₂)やアンモニア、空気のほか、人工冷媒のうち、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)が該当します。これらは環境性能に優れていることから、環境負荷低減に向けた有力な選択肢として注目されています。
空調設備などの更新は、定期点検で劣化や不具合が発見されたタイミングで行なわれるのが一般的です。設備の老朽化や冷媒漏洩が確認された際は、従来冷媒での修理に固執せず、用途に応じてグリーン冷媒を採用した機器への更新を検討することが重要です。
このタイミングを活用することで、将来的な規制強化を見据えたグリーン冷媒を採用した機器への切り替えを無理なく進めることができます。適切な機器選定と施工により、法令遵守と環境負荷低減を同時に実現することが可能となります。さらに、最新のグリーン冷媒を採用した機器は、省エネ性能にも優れており、結果としてランニングコストの削減につながるケースも多くあります。
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従来のフロン類は地球温暖化への影響が大きいことから、国際的に規制が強化されています。先進国では特定フロンはすでに全廃され、現在主流となっている代替フロンについても段階的な削減が進められています。
こうした流れを受け、今後は地球温暖化係数が低く、環境負荷の少ないグリーン冷媒への転換が求められます。
「自社の設備が規制対象か判断できない」「点検記録が適切に管理されているか不安がある」「更新時期の判断に迷っている」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
大阪ガスファシリティーズでは、環境負荷の少ない機器への取替工事から定期点検まで、フロン類の対策をトータルでサポートいたします。環境負荷低減とSDGs推進に向けた設備更新は、ぜひ大阪ガスファシリティーズにお任せください。
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