【BCP対策】非常用発電機は本当に稼働する?停電時のリスクを防ぐポイント
ビルオーナーさまのなかには、「停電発生時に非常用発電機はきちんと動くのか?」といった不安や「停電時に業務を中断させないためには?」といったどのような対策を取ればいいのかお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
非常用発電機が稼働しないと、消火・防災設備の停止、施設機能の停止、情報システムのダウンといったリスクが発生します。停電時に非常用発電機を確実に稼働させるには、停電点検時に非常発電機の自動作動確認や、定期的な保守点検による管理が欠かせません。
この記事では、停電時に非常用発電機が稼働しないリスク、確実に稼働させるためのポイントなどについて解説します。大阪ガスファシリティーズの停電時におけるBCP対策についても紹介します。
「停電時におけるBCP対策」のご相談は大阪ガスファシリティーズへ
目次
非常用発電機とは
BCP(事業継続計画)対策の一環として、非常用発電機を導入する企業が増えています。非常用発電機は、停電時に自動で起動し、重要な設備に電力を供給する装置です。軽油やLPガスを燃料とし、重要設備に供給する電力や建物用途に応じてその規模はさまざまです。
非常用発電機は、自然災害による浸水リスクを避けるため、地下や低層階ではなく、浸水の影響を受けにくい場所に設置することが望ましいとされています。
一方で、非常用発電機を高層階に設置する場合は注意が必要です。大型部品の交換や保守作業が物理的に難しくなることに加え、設置場所の床荷重に耐えられるかといった構造面での検討も求められます。
建物の建築段階では、消防法に基づき非常用発電機の設置が義務付けられることがあり、その場合には設置場所も含めて計画段階から検討します。
BCP対策としてあとから非常用発電機を導入する場合は、配線コストを考慮し、キュービクル(高圧受電設備)の近くに設置することが一般的です。そのため、1階や地上に設置されるケースも見られます。
停電時に非常用発電機が稼働しないとどうなる?
停電時に非常用発電機が正常に稼働しないと、建物や利用者に以下のような影響をおよぼすおそれがあります。
1.施設機能の停止:照明設備が停止し、ビル内の移動や作業環境が悪化する
2.情報システムのダウン:サーバーや通信機器が停止し、データの損失や業務の中断を引き起こす
3.防災機能の喪失:非常用昇降機、非常照明、非常放送設備、スプリンクラーや消火栓ポンプが作動しなくなり、火災発生時に初期消火が遅れる、施設を利用する方々の避難が困難になる
4.生命の危機:病院や介護施設では、人工呼吸器や心電図モニターなどの医療機器が停止し、患者の生命に直接的な危険がおよぶ
以下は、建物用途別における非常用発電機で優先的に稼働させるべきおもな機能です。
非常用発電機は、建物の用途に応じて確保すべき機能が異なります。災害時でも最低限の安全性や業務継続を維持するには、どの設備に電力を供給するかをあらかじめ想定しておくことが重要です。
停電時に非常用発電機を確実に稼働させる点検の重要性
非常用発電機を確実に稼働させるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。次に、停電時に非常用発電機を確実に稼働させるための点検の重要性について解説します。
1.受変電設備の停電点検(法定点検)停電時の確実な稼働に向けた備え
停電点検とは、電気事業法の保安規定に基づき、計画的に電力供給を停止して設備の点検やメンテナンスを行なうことです。「法定停電」ともいわれ、ビルや工場などの施設で定期的に実施されます。停電点検のおもな実施内容は次のとおりです。
1.変圧器やブレーカーの点検:高圧電力を受電し、使用電圧に変換する変圧器や、緊急時に作動するブレーカー等の動作確認
2.絶縁抵抗測定:受変電設備の絶縁状態を確認し、漏電や感電事故を未然に防止
3.設備の清掃:埃の蓄積は火災や機器故障の原因となるため、停電中に設備の清掃を実施
4.機械機構の動作確認:常用電源から非常用発電機電源に自動的に切り替わるか確認
このような点検作業を定期的に行なうことが、電気設備の安全性と信頼性の保持、停電時の事故やトラブルの未然防止につながります。
2.非常用発電機の定期点検 定期的な保守点検でリスクを最小限に抑える
非常用発電機は、「設置しているだけ」では意味がありません。いざというときに確実に稼働させるには、日頃から定期的な点検を行ない、正常に稼働することを確認しておく必要があります。
非常用発電設備の定期点検は、電気事業法、消防法、建築基準法により義務付けられており、これらの法規制は発電設備の機能維持と安全性の確保を目的としています。
例えば、消防法では発電設備に対して点検基準と要領が定められており、作動点検、外観点検、機能点検、総合点検が行なわれます。
点検の周期や報告の頻度は、施設の用途や重要度に応じて異なります。これらの点検業務は、第一種自家用発電設備専門技術者と消防設備点検資格者の資格を持つ技術者が実施すると定められています。
非常用発電機の保守点検を外部委託する際の3つのポイント
非常用発電機の保守点検は、専門的な知識と技術が求められる重要な業務です。災害や停電時に非常用発電機を確実に稼働させるには、適切な点検と管理が欠かせません。
そのため、保守点検を外部に委託する場合は、信頼できるパートナーを選定することが、施設の安全性や電力供給の安定を維持するうえで重要になります。ここでは、非常用発電機の管理を外部委託する際に押さえておきたい3つのポイントについて解説します。
実績や専門性
非常用発電機の保守点検を外部委託する際は、委託先の実績や資格の有無を確認しましょう。自社と同規模・同種の施設で対応実績が豊富にある委託先を選べば、設備の特性に応じた的確な対応が期待できます。
また、電気主任技術者や消防設備士など、必要な国家資格の保有状況も重要な判断材料です。専門的な知識と技術力を備えた委託先を選定することが大切です。
明確な契約内容
点検の範囲や実施頻度、費用、緊急時の対応体制、報告書の提出方法や記載内容、アフターフォローの有無など、あらかじめ具体的に定められているかを確認しましょう。
事前にこれらを明確にしておくことで、双方の認識にズレが生じにくくなるため、のちのトラブルを未然に防げます。
予防保全の提案能力
予防保全とは、設備の不具合を未然に防ぐために、定期的な点検や消耗部品の計画的な交換を行なう取り組みです。部品の劣化診断や定期的な交換の実施により、将来起こりうるトラブルを防止できます。
非常用発電機の保守点検を委託する場合は、単なる保守点検にとどまらず、将来的な故障を回避するための予防保全策を積極的に実施しているかどうかも重要な判断基準となります。
予防保全についての関連コラム「予防保全とは?メリットと課題・実現するためのステップ」
大阪ガスファシリティーズが提供する停電時におけるBCP対策とは
非常用発電機はあくまでBCP対策の一部にすぎません。いざというときに事業を継続するには、エネルギー供給に限らず、建物全体の管理や運営体制も含めた包括的な備えが必要です。
大阪ガスファシリティーズでは、このような「トータルなBCP対策」を見据えたファシリティマネジメントの提供に注力しています。
非常用発電機の導入と管理
ビルの特性やオーナーさまのニーズに応じて、最適な非常用発電機の選定から設置までをサポートしています。導入後は、定期的なメンテナンスや点検を通じて、非常時に確実に稼働する体制を整備し、安定した事業継続を支えます。
コージェネレーションシステムの活用
当社が提案するコージェネレーションシステムは、都市ガスを燃料として電力を供給し、その際に発生する排熱を冷暖房や給湯などに利用する高効率なエネルギー供給システムです。
停電時にも電力の供給を継続できるため、BCP対策としての有効性に加え、平常時においてもエネルギー効率の向上やコスト削減に貢献します。
ファシリティマネジメントの提供
停電対策は、ビル全体の運営管理と切り離せない要素です。大阪ガスファシリティーズでは、建物設備の点検、セキュリティ、ビルクリーニングなど、運営に必要な各種サービスを総合的に提供しています。
非常時の対応にとどまらず、日常のエネルギー管理や事業継続性の向上にもつながる運営体制を整えています。
さらに、省エネ化への支援を含めて、ビル全体を合理的かつ効率的に管理し、運営コストの削減を目指しています。ビルの停電対策とエネルギー効率の向上を両立させるファシリティマネジメントで、より安定したビル運営を支えます。
「停電時におけるBCP対策」のご相談は大阪ガスファシリティーズへ
非常用発電機は、停電時に施設の機能を維持するうえで欠かせない設備です。しかし、適切なメンテナンスが行なわれていなければ、必要なときに稼働しないリスクが生じます。このようなリスクを回避するには、停電点検や定期点検が不可欠です。
これらの対策には、高度な専門知識と技術が求められます。大阪ガスファシリティーズでは、非常用発電機の導入支援から点検・保守、さらにはエネルギー効率を高めるファシリティマネジメントまで、一貫したサポート体制を提供しています。
停電時におけるBCP対策についてお悩みのビルオーナーさまは、大阪ガスファシリティーズにお気軽にご相談ください。
「停電時におけるBCP対策」のご相談は大阪ガスファシリティーズへ