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ビルの泡消火設備のPFAS(PFOS・PFOA等)とは?確認方法・対処方法・放置リスク

ビルの泡消火設備のPFAS(PFOS・PFOA等)とは?確認方法・対処方法・放置リスク

ビルや駐車場に設置されている泡消火設備の中には、PFAS(PFOS・PFOA等)を含む泡消火薬剤が使用されているものがあります。

 

PFAS(有機フッ素化合物)は、数千種類以上存在する化学物質群の総称であり、多くのPFASは環境中で分解されにくく、一部は人体や環境中に蓄積しやすい性質があることから、国内外で規制が強化されています。PFOS含有泡消火薬剤は、2010年4月以降、PFOA含有薬剤は2021年10月以降、製造・輸入が原則として禁止されています。一方で、既に設置されている設備については、直ちに交換しなければならないわけではありません。

 

しかし、自社設備や使用薬剤の状況を把握しないままでいると、薬剤の漏えいや誤放出が発生した際の対応が遅れるほか、将来的な設備更新時に想定以上の処理費用や工事費用が発生する可能性があります。

 

そのため、次の3点は早めに確認しておくことが重要です。
・自社の泡消火設備がPFAS(PFOS・PFOA等)含有薬剤の対象か
・漏えいや誤放出につながるリスクがないか
・将来的な薬剤交換・設備更新をどのように進めるか

 

この記事では、PFASとは何か、PFASと泡消火器設備の関連性、PFAS含有薬剤の確認ポイント、放置した場合のリスク、関連する法規制などを解説します。

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PFASとは?なぜ問題になっているのか

PFASは、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称であり、数千種類に及ぶ有機フッ素系の化学物のグループです。

その中でも、特に代表的な物質がPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)です。

PFAS(特にPFOS・PFOA)が世界中で規制されている理由は、主に以下の3つの性質にあります。

  ✓  難分解性(分解されない):自然界(太陽光や微生物など)ではほぼ分解されず、土壌や地下水に長期間残留し続けます。
  ✓  高蓄積性(体内に溜まる):生物の体内に取り込まれると排出されにくく、食物連鎖を通じて蓄積されていきます。
  ✓  健康への懸念: 疫学調査や動物実験などにより、さまざまな健康影響との関連が報告されています。


そのため、各国・地域では予防的な観点から規制が進められています。一方で、健康影響の程度や発現メカニズムなどについては、現在も研究や科学的知見の蓄積が続けられています。

一度環境中に放出されると半永久的にリスクが残り続けるため、現在は国際条約(ストックホルム条約)や国内の化審法により厳しく製造・輸入が制限され、世界的にPFASを含まない薬剤への移行が急速に進められています。

泡消火設備とPFASの関係

泡消火設備とは、火災発生時に泡状の消火剤を放出して消火を行う設備です。主にガソリンや油類などの可燃性液体火災への対策として、駐車場や危険物施設などに設置されています。

過去に使用されてきた泡消火薬剤の中には、PFASをはじめとする有機フッ素化合物を含む製品がありました。これらの薬剤は、油面へすばやく広がって燃焼を遮断できることや、再燃を防止できることから、高い消火性能を持つものとして広く採用されてきました。

一方で、PFASを含む泡消火薬剤は、設備の故障や誤放出、点検時の排出などによって環境中へ流出するおそれがあります。特に土壌や地下水への汚染リスクが懸念されており、適切な管理が求められています。

また、ESG経営やSDGsへの取り組みが重視される昨今、PFAS含有設備の保有自体がビルの環境対応に関するリスクとして捉えられる場合があります。国も可能な限り早期の代替品への切り替えを推奨しており、施設管理者は自社設備の状況を把握しておくことが重要です。

PFAS対策の第一歩は「泡消火設備の所在確認」

家庭やオフィスによく設置されている一般的な液消火器には、通常PFASを含む泡消火薬剤は使用されていません。 一方で、大型ビルや駐車場、危険物施設などに設置された泡消火器設備では、PFASを含む薬剤が使用されている場合があります。

こうした設備は機械室やバックヤード、駐車場の天井裏など、人目につきにくい場所に設置されていることが少なくありません。そのため、建物所有者や管理者が設備の存在や薬剤の種類を把握できていないケースも見受けられます。

PFAS対策を進めるうえでは、まず自社施設に泡消火設備が設置されているか、また使用されている薬剤が何であるかを確認することが重要です。

自社の泡消火設備がPFASの対象か確認する方法

「ビルの泡消火設備が交換の対象かどうかわからない」というビルオーナーさまもいるでしょう。ここからは、交換対象かどうかを判断するための確認ポイントについて解説します。

1.点検記録・台帳に記載された薬剤情報を確認する

PFASを含有しているかどうかを確認する最も確実な方法は、消防設備点検報告書や設備台帳に記載された薬剤情報を確認することです。

薬剤名や型式番号が分かれば、PFAS含有の有無や適用される法規制について確認できます。近年実施された点検報告書であれば、PFAS含有薬剤に関する情報が記載されているケースもあります。

消防用設備等の点検についての関連コラム:「消防用設備等の点検の重要性とは?人命を守る法定義務の基礎知識」

2.設備管理会社へ確認する

点検記録や設備図面が残っていない場合、施設側だけで判断することは困難です。特に築年数の経過した建物では、設備更新の履歴が不明なケースも少なくありません。

そのため、保守点検を担当している設備管理会社や消防設備業者へ相談し、薬剤の種類や型式番号の確認を依頼することをおすすめします。必要に応じてメーカーへの照会や現地調査を実施することで、PFAS含有の有無を確認できます。

PFAS含有泡消火設備が見つかったら何をすればよい?

次に、PFAS含有泡消火設備が見つかった場合の対処法を見ていきましょう。

ただちに交換義務があるわけではない

PFAS等を含む泡消火薬剤は、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)により製造・輸入が原則禁止されています。ただし、既に設置・保有している泡消火薬剤については、直ちに交換や撤去が義務付けられているわけではありません。適切な管理を行うことを前提に継続使用することは可能です。

とはいえ、環境汚染を未然に防ぐ観点から、点検などの機会を通じて代替製品へ切り替えていくことが呼びかけられています。

漏えい防止を前提に適切な管理を行なう

水濁法(水質汚濁防止法)における泡水溶液や指定物質を含む泡消火薬剤が消火活動以外で流出した場合、都道府県知事等への届出が必要です。

公共用水域への排出や地下への浸透が確認された際にも、速やかな応急措置とともに都道府県知事等への届出義務が生じる場合があります。

日常点検では薬剤の保管状態や容器の劣化を確認し、漏えいリスクを早期に発見できる体制を整えておきましょう。

日常点検についての関連コラム:「ビルの日常点検とは?3つの重要性とオーナーさまの悩み解決手法」

薬剤の代替や設備更新を計画的に検討する

近年、PFASを含まない新しい泡消火薬剤への切り替えが進んでいます。
特に2026年の消防法改正により、一定の性能を満たす薬剤であれば、駐車の用に供する部分の泡消火設備について、配管やポンプなどの大規模な改修を行わずに既存の設備をそのまま活かした薬剤の置き換えが可能となりました。なお、適用には対象用途や設備条件を満たす必要があります。

薬剤を入れ替える際には以下の点に注意が必要です。

  ✓  配管・タンクの洗浄:旧薬剤の残留を防ぐため、厳密な抜き取りと洗浄が必要です。
  ✓  設備との適合性確認:薬剤の変更に伴い、パッキン類や弁などの一部部材の交換が必要となる場合があります。
  ✓  旧薬剤・洗浄液の適正処分:抜き取った薬剤や作業排水は、廃棄物処理法などの関係法令や、PFOS・PFOA含有廃棄物に関する技術的留意事項を踏まえ、適切に処理する必要があります。

計画的な更新に向け、専門事業者と連携しながら、関連法令や技術基準に基づいた最適な施工・入れ替えプランを選定しましょう。

PFAS含有の泡消火設備を放置するリスク

PFAS含有の泡消火設備を放置した場合、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。

漏えいによる環境汚染と健康被害

PFAS含有設備を保有する場合、最も懸念されるのが点検や事故による薬剤の漏えい、誤放出です。また、一部のPFASについては、自然環境中で分解されにくく、土壌や地下水へ流出すると長期間残留するおそれがあります。生態系や人体への健康影響も指摘されています。

老朽化による想定外のトラブル

PFAS含有設備のなかには、設置から長い年数が経っているものも少なくありません。設備の老朽化が進むと、配管やバルブ、タンクなどの劣化によって不具合が発生する可能性があります。

また、部品の供給終了や設備仕様の把握が難しくなることで、点検や修繕に支障をきたすケースもあります。

万が一、設備の故障や誤作動によって泡消火薬剤が漏えい・放出した場合、その影響は単なる設備不具合にとどまりません。施設管理者には、薬剤の拡散防止や行政への届出対応、専門業者による回収・処理の手配など、迅速かつ適切な対応が求められます。

特に地下駐車場などで大量の薬剤が放出された場合には、施設の一時閉鎖や利用者対応、設備復旧工事に加え、薬剤や洗浄水の回収・処理、さらには周辺環境への影響調査が必要になることもあります。

その結果、多額の復旧費用や管理負担が発生する可能性があります。

企業イメージへの影響

近年はESGやサステナビリティへの関心が高まり、企業や施設の環境リスク管理に対する注目も高まっています。

そのため、PFAS含有設備を保有している場合、テナントや施設利用者、取引先などから設備の管理状況や今後の対応方針について説明を求められる可能性があります。

設備の有無や管理状況を把握していなかったり、対応方針が不明確だったりすると、環境対応への意識や管理体制に対して懸念を持たれる可能性があります。

「泡消火設備」のご相談は大阪ガスファシリティーズ・阪和総合防災へ

PFAS(PFOS・PFOA等)含有泡消火設備は、使用が禁止されているわけではありません。しかし、漏えいによる環境汚染リスクや設備の老朽化などを踏まえると、計画的に更新計画を立てることが重要です。

まずは、自社設備にPFAS含有薬剤が使用されているかを確認し、必要に応じて薬剤の交換や設備更新を検討しましょう。

「自社設備がPFAS対象かわからない」「台帳が残っていない」「更新費用を知りたい」など、今後の対応にお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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