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ライフサイクルコスト(LCC)とは?所有建築物の生涯費用を知っておくべき理由と低減させる方法

ライフサイクルコスト(LCC)とは?所有建築物の生涯費用を知っておくべき理由と低減させる方法

皆さんはライフサイクルコスト(LCC)という言葉をご存じでしょうか? 設備投資を行うときにライフサイクルコストを考えることは今や当たり前。特に、自社ビルのような投資金額が大きく長期的に使う建物は、ライフサイクルコスト次第で事業収支を大きく変えてしまうほどの影響力があります。ライフサイクルコストを考えながら、いかに会社の資産を守るか、また、建物管理を見つめなおすことでいかにライフサイクルコストを低減させるかをこの記事でお伝えします。

ライフサイクルコスト(LCC:Life Cycle Cost)とは?

ライフサイクルコスト(LCC:Life Cycle Cost)とは?

ライフサイクルコスト(Life Cycle Cost、LCC)とは、製品などを作ってから、それがゴミになり、完全に消えるまでのすべてにかかった費用を合計したものです。文字通り製品が生まれてから死ぬまでにかかるお金のため、日本語では「生涯費用」と呼ばれています。

建物の場合は、建設から維持・運用、その後の修繕と、最後に完全に取り壊すまでのすべての費用の合計がライフサイクルコストです。

例えば、建設費が8000万円の建物Aと、1億円の建物Bがあるとします。建物Aが2000万円お得に建てられるように思えますよね。しかし、建物Aは設備がかなり複雑でメンテナンスが難しく、例年のメンテナンス費用がBに比べて50万円余分にかかる、とすればどうでしょう。建物を50年使った場合、建物の維持にかかる費用には2500万円の差がつきます。Bの方が長期的にみれば結局お得だったわけです。

このように、建物のように長く保たせることが前提のものは、ライフサイクルコストまで考えていなければ損失を招いてしまいます。

ライフサイクルコストの構成要素

とはいえ、建物のライフサイクルコストを試算するのは難しいものです。ライフサイクルコストにあたる費用について、カテゴリごとに箇条書きにしてみましょう。

● 建設費
● 水道光熱費
● 点検費(定期点検やメンテナンス委託のための費用)
● 保守費(建物内の設備や機器を運転・管理する費用)
● 清掃費
● 警備費
● 消耗品費(建物内の電灯といった消耗品交換費用)
● 修繕費(部品単位の修理や部分的取り換えにかかる費用)
● 更新費(建物の機器や部材などを全面的に更新するための費用)
● 解体処分費(建物を解体し、完全に処分するためにかかる費用)
● 保険料
● 税金

このように、建物に関わるあらゆる費用を足したものがライフサイクルコストです。

ライフサイクルコストがなぜ重要なのか

建物のライフサイクルコストがなぜ重要なのか。それは、資産価値を正確に測り、適切な設備投資を行うためです。そのためにはコストの試算がなくてはなりません。

一般的なオフィスビルでは、ライフサイクルコスト全体の費用のうち、建物を建てた時点の費用はおよそ2割にとどまります。残りはすべて、建物を維持するためのコストとなるわけです。つまり、建物は建てる費用の4倍、維持にお金がかかります。建物を新たに建てたり、リフォームを行ったりする時点で「どんな設計をすれば、修繕や更新の費用を抑えられるのか?」「どんなメンテナンス計画を立てれば、無駄なコストを抑えられるのか?」といった、中長期の修繕計画を立てていかなければ、莫大なお金を無駄にしてしまうことになります。

また、建物の資産価値を維持する上でも、ライフサイクルコストは重要です。

適切な改修工事を行えば、建物のライフサイクルコストのうち、水道光熱費、点検費や保守費、修繕費、更新費などを下げることができます。建物内の電気設備を省エネルギーのものに交換したり、稼働していない照明を間引いたり、空調を効率化したり、建材を長持ちするものに変えたりすれば、それだけライフサイクルコストが下がり、無駄なお金が出ていくことを抑えられるだけでなく、建物の資産価値も長期的に維持できます。

ライフサイクルコストが変化する例

ただし、ライフサイクルコストは時代に合わせて変わってゆくものです。ビルを建てた時点ではさほど気にする必要のなかったことが、時代が進むにつれて突然ライフサイクルコストを上昇させる原因になるということがあります。ではライフサイクルコストが急に変化するのは、どのようなケースでしょうか。

建物や設備の老朽化・破損

建物や設備は老朽化し、劣化していきます。劣化が少なければそれだけ修繕の費用が少なくて済みますが、著しい経年劣化などがあれば総取り換えしなければならないこともあり、当然費用は大きくなります。

また、急な災害が起こったり、設計に問題があったりすれば、ライフサイクルコストが増加します。定期的な保守点検などを費用削減のために取りやめたり、適切な耐震補強を怠ったりすることで、災害時に思いもよらない被害が起こるというのは十分考えられることです。

他にも、アスベストやPCBなどの「昔はよく建造物に使われていたが、今は法的に禁じられた物質」が残っており、それによって被害が出てしまえば、賠償や行政処分などの事態が起こり、ライフサイクルコストも跳ね上がるでしょう。

時代の潮流の変化

20年前の常識が今や非常識、ということはよくあることですが、建物や設備でもそれは起こります。例えば、一昔前は社会的に普及していなかった再生可能エネルギーの利用や省エネ設備は、今や国策として一般にも普及しています。また、建物の安全基準については基本的に厳しくなっていますし、バリアフリーの基準も強化されています。

いくらメンテナンスしていても、大きな設備更新を定期的にしていなければ、建物のライフサイクルコストが増加するリスクを抱えることになるでしょう。

ライフサイクルコスト低減のためにできること

では、ライフサイクルコストをどうやって下げればいいのでしょうか?その方法について説明します。

長寿命化のために計画的な保全を行う

建物の長寿命化はライフサイクルコストを低減します。そのためには、やはり計画的な保全作業が大切です。建物の現在の設備を管理し、そのうえで長期修繕計画を立てていく必要があります。専門家と協力し、管理・保全・修繕についての長期計画を立てることで、ライフサイクルコストを低減できます。

水道光熱費を抑える設計や設備を導入する

省エネ設備を導入することで水道光熱費を抑え、ライフサイクルコストを下げられます。しかし、ただ導入するだけでは、カタログスペック通りに機能を発揮できないこともあります。導入時には、きちんとしたエネルギーマネジメントを行ったうえで、直後にどの程度省エネに成功したのかだけでなく、長期的にいくら水道光熱費を抑えられたのかまでを管理しましょう。

建物の資産価値を向上させる

建物の資産価値を上げ、不動産の運用や売却で収益を出すことによって、投資を回収し、相対的にライフサイクルコストを下げられます。

例えば、建物のリニューアルや設備導入で機能性や利便性を向上させたり省エネ設備や高効率な空調システムを導入したりすれば、建物の資産価値を上げ、ライフサイクルコストを下げることにつながります。

改修・更新のタイミングはいつ?

改修・更新のタイミングはいつ?

では、建物の改修や設備更新を行うのはどのようなタイミングなのでしょうか?

一般的に建物の寿命は60年と言われています。しかし、60年前に建てられた建物が今、そのまま使えるかと言えば答えはNoでしょう。

まず、建築や設備のルールが変わっています。必要な修繕や、時代に合わせた更新を行っていない建物は、当然今の基準に満たない危険な状態になっているでしょう。さらに、設備が老朽化すると、少し動かすだけで不具合が頻発するようになります。当然、そうした建物は資産価値を大きく損ない、もし怪我人や被害者が出たなら、是正や解体、更には所有者への責任も問われることになります。

また、省エネ・エコロジーについての考え方が、ここ十数年で大きく進歩したことも忘れてはなりません。設備に求められる省エネ基準は上がっていますし、再生可能エネルギーの普及に向けた取組に対しては補助金が出る時代です。電気料金の値上がりが続いている以上、設備の省エネ化は長期的なライフサイクルコストを下げる効果が高いでしょう。

資産価値を損なわず、建物を大事に使っていくためにも、毎日の日常点検と、10年や20年など設備に応じた大きな改修や更新は欠かせません。また、行き当たりばったり、故障が出た部分をとりあえず直すというスタイルで改修や更新を行っていると、思わぬ出費が必要になり、企業の収益を損なう事に繋がります。まずは専門家と修繕の計画を立て、それに従って計画的な保守点検と改修・更新を行いましょう。

建物設備のライフサイクルコストに関するお困り、ご相談は、 大阪ガスファシリティーズにお任せください

記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。ライフサイクルコストについて、簡単ではありますがこのようにまとめさせていただきました。この記事があなたのお役に立ったなら幸いです。

ライフサイクルコストを下げ、計画的な資産運用や会社運営を行っていくためにも、まずは自社ビルの点検から始めてみてはいかがでしょうか。大阪ガスファシリティーズは、オーナー様に代わって建物の保守点検や保全作業を行い、ライフサイクルコストを低減し、建物の資産価値を維持・向上します。まずは大阪ガスファシリティーズにご相談ください。

自社のライフサイクルコストに関してご検討される場合、ぜひ弊社にご相談ください

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