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ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは? 意味やメリット、実現方法について解説!

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは? 意味やメリット、実現方法について解説!

ZEBという言葉を最近聞くようになったけれど、具体的にどんなものなのかいまいちわからないあなた。ZEBを達成することで、補助金の給付、光熱費の節減、SDGsの達成など、様々なメリットがあることをご存じですか?
ZEBの意味やメリット、実現方法について解説します。

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは?

ZEBとは、Net Zero Energy Building(正味ゼロエネルギー建築物)の略称です。建物における国が定めた基準となるエネルギー消費量から、省エネによって減らしたエネルギーと、創エネによって作ったエネルギーの合計を差し引いた結果が0になるものをZEBと呼びます。

ZEBの図解

ZEBには前段階として、Nearly ZEB(基準エネルギー消費量の75%以上を、省エネと創エネでまかなっている建物)、ZEB Ready(創エネはできていないが、省エネで基準エネルギー消費量を50%以上削減した建物)があります。加えて、2019年2月からは、建物の延べ面積が10,000㎡以上の場合、「事務所、学校、工場等は省エネで基準エネルギー消費量の40%以上の削減」「ホテル、病院、百貨店、飲食店、集会所等は省エネで基準エネルギー消費量の30%以上の削減」「省エネルギー効果が高いと見込まれ、公表された技術を導入していること」を条件に、ZEB Orientedという枠が用意されています。

ZEBの図解2

なぜZEBが必要なの?

我が国では、地球温暖化対策に向けて「2050年カーボンニュートラル宣言」をおこないました。地球温暖化対策計画では、2030年度目標の達成に向けて事務所ビルや商業施設など業務に使用する建物のエネルギー消費を、2013年度と比較して51%削減するという目標が盛り込まれています。このために、国を挙げてZEBが推奨されるようになってきました

公共の施設については、「今後予定する新築事業については原則ZEB Oriented相当以上としつつ、 2030年度までに、新築建築物の平均でZEB Ready相当となることを目指す」という宣言がされています。この基準に合わせて、今後は民間の建物もZEB化を進めていくことが期待されています。

ZEB化のメリット

ZEB化のメリット

ZEB化を進めることは、オーナーにとっても様々なメリットがあります。

光熱費の削減ができる

ビルが消費するエネルギーを削減し、かつエネルギーを創ることは光熱費の削減につながります。社会情勢が不安定となり、石油や天然ガスの供給がおぼつかなくなったとしても、ZEB化しておくことで影響を小さくできます。社会不安が大きいほど、維持費用を大きく削減できるZEB化の効果も大きなものになるでしょう。

各種補助金が交付される

ZEB化は国家が推進する施策であるため、毎年補助金が投入されています。今のうちに補助金を使ってビルをZEB化すれば、小さな投資で長期的な光熱費の削減ができ、大変お得です。当然、補助金はいつまでも続くものではありません。多くのビルがZEB化を終えたと国が判断した場合、補助金はいずれ交付されなくなるでしょう。だからこそ、今、補助がされている間にZEB化をすすめるべきです。

補助金の内容については、後ほど詳しく書くため、このまま読み進めてください。

不動産価値・企業価値が上がる

脱炭素についての社会的な価値が上がっている当世では、ZEB化ができているかどうかはビルの資産価値に直結します。例えば、ZEB化ができている建物を事業に使っているということは、それだけで企業のCSR活動として広報できます。ほかにも、ZEB化ができているビルにテナントとして入れば、光熱費を抑えられます。自家発電能力があるので、災害時に機械類が停止するリスクを下げられます。ZEB化済みの建物は、建物内で事業を継続するだけでもブランドになり、貸し出す場合でも付加価値を高められます。

事業継続性の向上・事業継続計画が策定しやすくなる

ZEB化する際に、太陽光発電等の創エネ設備を導入すれば、停電などが起きた時にも自立して電力を供給し続けられます。電源を止めてはならない機械(例えば、サーバ、生命維持装置、生鮮食品の冷蔵装置、温度を一定に保たないと行けない場所の空調など)がある場合、これが企業の明暗を分けます。

例えば、災害などによって大規模停電が起こったとします。復旧した時に、顧客データが入ったサーバが急な電源喪失によって壊れていたらどうなるでしょうか。災害で被害を受けた上に、顧客からの信頼もなくしてしまうわけです。下手をすれば、そのまま事業が破綻してしまうでしょう。

災害はいつ起こるかわかりませんが、ZEB化によって備えておけば、停電が起こったとしても重要な機械類を守ることができ、ひいては会社の存続にも繋がります。

また、事業継続計画を作る時にも、ZEB化は重要です。事業継続計画を作る時には、事業を続ける障害となりうるリスクを探し、対策にかかるリソースを見積もることが必要になります。そのとき、ZEB化をしておけば対策を立てるのが簡単になり、事業継続を策定しやすくなります。

過ごしやすさが損なわれない

ZEB化の省エネは、空調の温度を上げ下げしたり、電気をこまめに消したりするような省エネとは異なったものです。断熱や空調設備の更新などで省エネを行うため、省エネのために我慢をする必要はありません。快適な職場環境で過ごしつつ、地球環境にも配慮できます。

不動産をZEB化するための手順

不動産をZEB化するための手順

ここまで読んで、「新築ビルしかZEB化できないんじゃないの?」「うちの不動産はもう省エネできる余地がないしなあ」と思われているオーナーの方、ご安心ください。既に建てたビルであっても、後からZEB化が可能です。さらに、設備の運用次第では、新しい設備を入れることなしに、ZEB Readyを達成できることもあるのです。

それでは、既存の建築物をZEB化するためには、どのような手順をとれば良いでしょうか。

1.建築用途や予算などを整理する

まずは図面と設備の一覧を用紙して、建物がどのような用途で建てられたのかを整理し、各部屋に絶対必要な機器をピックアップしましょう。同じような敷地サイズでも、教育機関と病院、工場では稼働させておく機器の種類も、稼働時間も全く違いますし、同じ設備でも必要性は変わってきます。工場なら夜間に外周部分のライトアップは不要かもしれませんが、学校なら学生の安全のためにライトアップが必要になることもあるでしょう。同じ商業施設でも、衣料品を扱っているフロアなら夜間電力をある程度オフにしても良いでしょうが、食品を扱っているフロアの機器は落とせないはずです。建物の建築用途と設備の用途を確認し、重要なポイントを整理しておきましょう

普段からエネルギーマネジメントを行っていたなら、建物で電力を使っている設備などをある程度把握できるはずです。そうした機器の買い替えや設備更新にかかる大まかなお金を見積もれば、予算も自然と決まってくるでしょう。

まだエネルギーマネジメントを十分行えていないなら、専門家にこの時点から相談するのが良いでしょう。

2.専門家に相談し、ZEB化できる設備を洗い出す

きちんとエネルギーマネジメントを行っていたとしても、どの設備がZEB化できるのかは専門家に調べてもらったほうが良いでしょう。特に省エネ設備は、機器の相性や設定の最適化によって省エネ性能が大幅に変わることもあります。場合によっては、新規の機械設備を追加することなく、30%近くの電気料金削減ができた例も存在します。

省エネ設備を調査する場合は、エコチューニング事業者ZEBプランナーなどの国家認定事業者を選ぶのがよいでしょう。

3.改築した上で、ZEBの認証手続きを行う

設備の更新や建物の改築を行えば、あとはZEBとして公的に認められる必要があります。建物がZEBであることを証明するためには、国土交通省が定める「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」に基づき、第三者機関による認証を受ける必要があります。このBELS制度で省エネ性能があると認定されて、はじめて建物がZEB等として承認されるわけです。

このようなステップを踏んでいけば、建物をZEB化できます。

ZEB化で利用できる主な補助金

ZEB化で利用できる主な補助金

それでは、ZEB化の際に利用できる主な補助金はどのようなものでしょう。現在使える、既存建築物のZEB化に使える補助金を挙げていきます。内容や補助率は2022年6月時点のものであり、環境省の公式発表資料を参考としています。

レジリエンス強化型の建築物ZEB実証事業

環境省が経済産業省・国土交通省・厚生労働省と連携して行っているZEB化への補助金です。脱炭素化に加えて、災害や新型感染症の発生にも強い設備がそろっている建築物に支給されます。例えば、新型コロナウィルス対策となる空調換気設備を整えた建物や、長期の停電時でも施設内にエネルギー供給を行うことができる再エネ設備が整っている建物、水害時にも電源が確保できるよう配慮された建物などがターゲットとなります。また、被災により建て替えが必要な建物や、CLT(Cross Laminated Timberの略称。板の層を互いに直行するように積み、接着することで作った厚板のパネル。これまで製材に向かなかった木材も利用できるため省資源であり、耐震性や断熱性にすぐれるなど利点が多い)などの木材を使った建物は優先支給されます。

建築物のZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業

環境省が経産省と連携して行っているZEB化への補助金です。業務用施設のZEB化・省CO2化に資する高効率設備等の導入を支援するための補助金で、CLTなどの新たな木材を使っている建物には優先採択枠がもうけられています。また、感染症対策のために省エネ換気設備導入を行っていたり、エネルギーマネジメント用の管理設備導入を行っていたりする場合も採択の際に加点されます。

既存建築物における省CO2改修支援事業

環境省が国土交通省と連携して行っているZEB化への補助金です。建物によって得られる補助金の上限額や割合は異なります。

民間の建物(オフィスビルや工場など)であれば、導入前の設備と比べて30%以上のCO2排出削減できる設備を導入しており、かつ運用改善によりさらなる省エネの実現を目的とした体制を構築できているとみなされる場合、CO2削減に寄与する空調設備やBEMS装置等の導入費用が補助の対象となります。

テナントビルの場合は、オーナーとテナントが環境負荷を低減する取組に関する契約や覚書(グリーンリース(GL)契約等)を結び、かつ導入前の設備と比べて20%以上のCO2排出削減できる設備を導入すれば、CO2削減のために導入した設備費等が補助の対象となります。

建物のZEB化は大阪ガスファシリティーズに相談を

建物のZEB化は光熱費削減、補助金交付、不動産価値の向上といった様々なメリットがあります。だからこそ、補助金などを獲得し、お得で確実なZEB化を行うためには、専門事業者を頼るのが一番でしょう。

大阪ガスファシリティーズはエコチューニング事業者ZEBプランナーを取得しており、建築主さまなどからのZEB化のご相談に対応することで、カーボンニュートラルの実現に貢献しております。また、補助金事業も多数の採択実績があります。

ZEB化に興味をお持ちなら、まずは大阪ガスファシリティーズにご連絡ください。

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