BELSとは?表示メリットやZEBとの関係
ビルのエネルギー効率を上げたいと考える建物オーナーさまのなかには、「BELS(ベルス)とは?」「BELSの評価手法や評価ランクは?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
BELSとは、建築物の省エネルギー性能を5段階の星で表示する制度です。BELSで星5つを取得する際は、「ZEB Ready」の同時取得をおすすめします。
この記事では、BELSの概要・評価手法・評価ランク、BELSとZEBの関係について解説します。BELSを考える際に同時に取得しておきたい「ZEB Ready」についても紹介します。
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目次
BELSとは?
まずは、「BELS」の概要について解説します。
BELSは建築物における省エネルギー性能の表示制度の一つ
BELSは、「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称です。
BELSは、国土交通省が定める「建築物の省エネ性能表示のガイドライン(建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針)」に基づく第三者認証制度の一つであり、制度運営は一般社団法人住宅性能評価・表示協会が行なっています。
なお、建築物の省エネ性能を評価する制度には、このBELSのほかにも、CASBEE(キャスビー)・ZEB(ゼブ)・ZEH(ゼッチ)などがあります。
BELSの対象建築物
BELSは、新築か既築か、建築物全体か部分かを問わず、原則すべての建築物に対して評価を行なうことが可能です。
また、BELSの評価は、「住宅用途」と「非住宅用途」のカテゴリに分類されます。非住宅用途には、事務所・学校・工場・ホテル・病院・飲食店などの建物が含まれます。
なお、2023年10月末時点における、2016年(平成28年)4月からのBELS評価書の累計交付実績は下記の通りでした。
- 住宅用途 46万2,562件
- 非住宅用途 4,141件
- 複合用途 29件
BELSの評価手法と評価ランク
次に、BELSの評価手法と評価ランクについて解説します。
BELSは「BEI」で評価
「BEI」とは、基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量の割合を指し、以下のような計算式を用いて算出されます。
- BEI=「設計一次エネルギー消費量」÷「基準一次エネルギー消費量」
「設計一次エネルギー消費量」と「基準一次エネルギー消費量」の意味は、以下のとおりです。
- 設計一次エネルギー消費量:評価対象となる建築物の設計仕様における一次エネルギー消費量
- 基準一次エネルギー消費量:設計一次エネルギー消費量の算出と同様の建築用途で定められている一次エネルギー消費量
設計一次エネルギー消費量の「設計仕様」※には、以下のような項目が含まれ、1~6の合計値から7を差し引いて算出します。
- 空調/冷暖房エネルギー消費量
- 換気エネルギー消費量
- 照明エネルギー消費量
- 給湯エネルギー消費量
- 昇降機エネルギー消費量(非住宅のみ)
- 事務機器等/家電等エネルギー消費量(省エネ手法は考慮しない・基準仕様と同一)
- エネルギー利用効率化設備によるエネルギー削減量
BEIは、値が小さいほど建物の設備機器の省エネ性能が高いことを意味します。とりわけ7のエネルギー削減量が大きくなればなるほど、BEIの値が良くなっていくことになります。
※出典:国土交通省 築物省エネ法 法関連 基本情報「省エネ基準・誘導基準・トップランナー基準」概要資料
BELSの評価は5段階の星で表示
BELSの評価基準は以下のとおりです。数値はBEIの算出結果を表します。
星の数 | 住宅用途 | 非住宅 用途1 (事務所等・学校等・工場等) |
非住宅 用途2 (ホテル等・病院等・百貨店等・飲食店等・集会所等) |
☆☆☆☆☆(星5) | 0.8 | 0.6 | 0.7 |
☆☆☆☆(星4) | 0.85 | 0.7 | 0.75 |
☆☆☆(星3) (誘導基準) |
0.9 | 0.8 | 0.8 |
☆☆(星2) (省エネ基準) |
1.0 | 1.0 | 1.0 |
☆(星1) (既存の省エネ基準) |
1.1 | 1.1 | 1.1 |
出典:環境省 ZEB PORTAL[ゼブ・ポータル]「もっと詳しく」「評価・認証・表示制度」BELSの評価は、5段階の星で表示され、性能が高い建築物ほど星の数が多くなります。
BELSを表示する2つのメリット
ここからは、BELSを表示するメリットについて見ていきましょう。
一目で建築物の省エネ性能を判断できる
BELSは、上述のとおり建築物の省エネ性能を1~5つの星で表します。また、建物の用途ごとに定められた基準一次エネルギー消費量に対する削減率も併せて表示されます。
そのため、BELSについての専門知識を持たない方でも、一目で建築物の省エネ性能を判断できます。
環境問題への取り組みを対外的にアピールできる
BELSは、「建築物省エネ法」に準じ、かつ第三者機関が高い省エネ性能を備えた建築物として評価するため、建物の価値向上につながります。
また、建物オーナーさまが環境問題に配慮していることや、質の高い建築物であることの対外的なアピールも可能です。
なお、2024年4月より「建築物の省エネ性能表示制度」が実施されます。この制度により、事業者は新築建物の賃貸の広告や販売において、BELSやそれにともなう省エネ性能の表示ラベルを示すことが必須化されます。
そのため、既存建物においても同様の表示を行なうことで、新築建物との競合時にも省エネ性能の高い建築物としてのアピールが可能になります。
テナントとして入居を考えている企業などに対しても建物の魅力を提示しやすくなるほか、既存テナントの賃料が下落するリスクの回避につながることも期待できるでしょう。
「BELS」と「ZEB」の関係は?
BELSと似たような言葉にZEBがあり、計算式の違いは以下の通りです。
BELS | 一次エネルギーの消費量 |
ZEB | 一次エネルギーの消費量+エネルギーの創出※ ※創出が必須要件でない場合もある |
ZEBは、「快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物※」を指します。BELSと比較すると、「消費する一次エネルギー量」という部分が共通しています。
※出典:環境省 ZEB PORTAL[ゼブ・ポータル]「ZEBとは?」「1. ZEBとは?」
しかし、ZEBは「エネルギーの消費」に加えて、「エネルギーの創出」も評価の対象になっている点が大きく異なる部分です。そのため、BELSよりも厳しい基準に基づく認証制度ということができるでしょう。
ただし、ZEBでも下位の認証であれば「エネルギーの創出」は必須要件ではないため、その場合はBELSと同じ尺度での評価となります。
ZEBは、一次エネルギー消費量の削減や、再生可能エネルギーの導入などの基準をもとに、『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Ready・ZEB Orientedの4つの種類に分類され、BELSと同様にBEIを用いて評価されます。
なかでも、『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Readyは、BELSの星5つ取得よりも省エネ性能が高い建築物であることを意味します。
これは、『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Readyいずれも、BEI値で0.5以下+創エネに相当するものとなり、BELS評価書の星5つ(BEI値0.6以下)取得以上の価値があることが理由です。
そのため、ZEBの各基準を満たすことで、 BELS評価において『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Readyの評価を表示することも可能になります。
BELSと一緒に取得したい「ZEB Ready」とは?
ZEBシリーズの一つZEB Readyの認証基準は、省エネで基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物、すなわちBEIで0.5以下であることです。
ZEB Readyには、次のようなメリットがあります。
- 創エネが必要な『ZEB』ほど実現ハードルが高くないが、ZEBの認証を受けた建築物として対外的なアピールができる
- 電力消費に重点を置く省エネでも認証を得られる可能性がある
- 既存ビルでも基準達成できる可能性がある
- 補助金を活用できる場合がある
なお、補助金を活用する際は、ZEBプランナーの関与が必須です。大阪ガスファシリティーズはZEBプランナーの資格を保有しているため、建物オーナーさまに対し、ZEB実現に向けたプランニングの提案や、補助金申請の代行を行なえます。
「ZEB Ready」のご相談は大阪ガスファシリティーズへ
BELSは、建築物の省エネルギー性能を5段階の星で評価する表示制度であり、住宅用途のほか、事務所・ホテル・病院などの非住宅用途も対象とします。
BELSには、専門知識を持たない方にもビルの省エネ性能をアピールできる、建物の価値が向上するなどのメリットがあります。
また、BELS評価書で星5つを取得した場合、『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Readyの基準を満たすことで、ZEBの認証を受けた建築物としての表示も可能になります。
特にZEBシリーズの一つ「ZEB Ready」は、電力消費に重点を置く省エネや、既存ビルでも基準をクリアできる可能性があるなど、ZEB取得のハードルが高くありません。
さらに、創エネに関する要件がないため、BELS評価書で星5つを取得していると自動的に条件を満たしている場合があります。
「ZEB Ready」の取得を考えている建物オーナーさまは、お気軽に大阪ガスファシリティーズにご相談ください。
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