
はじめての中長期修繕計画:建物を長持ちさせるための基本ガイド
建物は私たちの生活や事業活動を支える大切な基盤です。しかし時間の経過とともに必ず劣化が進み、壁のひび割れや設備の故障など、放置すれば大きなトラブルや高額な修繕費用を招くことも少なくありません。そこで欠かせないのが、建物の将来を見据えた「中長期修繕計画」です。
中長期修繕計画を立てることで、急なトラブルを未然に防ぎ、修繕費用の負担を計画化し、建物の資産価値の維持にもつながります。また、住民や利用者の安心・安全な暮らしを支え、ビルオーナー、マンション管理組合、企業の施設管理のご担当者さまにとっても、日々の管理負担を軽減できる重要な仕組みです。
本記事では、中長期修繕計画の意義や作成方法、計画がない場合のリスクまでをわかりやすく解説します。
「中長期修繕計画」のご相談は大阪ガスファシリティーズへ
目次
中長期修繕計画とは?
建物の「手入れ・メンテナンス計画」
中長期修繕計画とは、建物のどの部分を、いつ、どのように修繕・更新するのかを中長期的に整理した「手入れ・メンテナンス計画」です。外壁塗装や防水工事、給排水設備の更新など、建物を健全な状態で保つためには定期的なメンテナンスや修繕・更新が欠かせません。こうした項目を、建物の劣化状況や機能寿命に基づいて計画化したものが中長期修繕計画です。
具体的に何をするの?
まず専門家が建物の状態を調査し、どの部分がどのくらいの期間で修繕や更新をするか想定します。例えば、外壁の塗装は約10年ごとに塗り替えが必要で、空調設備は約15年が更新の目安となります。こうした情報をもとに、10年、20年、30年といった長いスパンで修繕や更新のスケジュールを立て、必要な費用を見積もります。計画に基づき資金を積み立てることで、大規模な出費を計画的に準備することができます。
なぜ中長期修繕計画が大切なのか?

建物は時間とともに劣化する
建物は自然環境や使用状況により年々老朽化します。新築のときは美しかった壁や屋根も、年月が経つとひび割れや色あせが目立ち、設備も故障しやすくなります。これは避けられない自然の流れであり、建物も人の体と同じように「老化」していくのです。だからこそ、建物の健康を守るためには、定期的なメンテナンスや修繕が欠かせません。
劣化を放置すると急なトラブルに
長期間メンテナンスが行われない場合、漏水や設備の故障などの急なトラブルが起こりやすくなります。例えば、給排水設備の故障でトイレが使えなくなることや、受変電設備のトラブルでビル全体が停電することもあります。こうしたトラブルは住民やテナントの生活や業務に大きな支障を与え、損害賠償や信用失墜につながることも少なくありません。急な対応は費用も高額になりがちで復旧までに時間がかかる場合もあり、建物全体の混乱が長期化するリスクにつながります。
中長期修繕計画でトラブルを未然に防ぐ
あらかじめ建物の劣化を予測し、必要な修繕や更新を計画的に行うことで、急なトラブルを未然に防ぎます。計画的な修繕は費用を平準化し、急な大規模修繕の負担を軽減します。また、適切なタイミングで修繕を行うことで、建物の資産価値を維持し、住民やテナントの満足度も高まります。
さらに、計画的な修繕は時間の節約にもつながります。急なトラブル対応に追われることなく、スムーズに作業を進められるため、利用者への影響も最小限に抑えられます。
つまり、中長期修繕計画は建物の「健康管理」として、時間とお金、そして安心を守るために欠かせないものです。早めに計画を立て、着実に実行することが大切です。
中長期修繕計画はどうやって作るのか?
1.専門家による建物調査
外壁や屋根、設備の劣化状況を正確に把握し、どの部分がいつ修理や交換を必要とするかを予測します。建物の寿命や使用状況、過去の修繕履歴も考慮し、将来のトラブルを未然に防ぐための重要な情報を提供します。
2.修繕項目のリストアップ
次に、調査結果をもとに修理や交換が必要な項目をリストアップします。外壁の塗装、防水工事、給排水設備の交換、空調設備の更新など、建物の各部分ごとに具体的な修繕内容を明確にすることが大切です。このリストは、建物の安全性や快適性を維持するための計画の核となります。
3.修繕スケジュールと修繕費用管理
さらに、修繕の時期を適切に決めることも重要です。●●の工事は10年ごと、▲▲の入替は20年ごとといった中長期のスケジュールを作成し、急なトラブルを予想しつつ、費用に掛かるキャッシュフローを計画化します。計画的な資金計画により、将来の出費を管理し、負担軽減に繋がります。
4.関係者での話し合い
そして、中長期修繕計画はオーナー、専門家など関係者全員で話し合いながら作ることが不可欠です。意見を交換し、建物の現状や課題を共有することで、実効性のある計画が生まれます。住民やテナントの理解と協力を得ることも、計画の円滑な実行には欠かせません。透明性のあるコミュニケーションが信頼関係を築き、成功に繋がります。
このように、専門家の調査から始まり、修繕項目のリストアップ、修繕時期と費用に係わる資金計画、関係者の話し合いを経て中長期修繕計画は完成します。しっかりとした計画が、建物の安全性や快適性を長期間守り、資産価値を維持する鍵となります。
中長期修繕計画がない場合の懸念事項

1.突発的トラブルの発生リスクの顕在化
設備台帳*もなく、修繕履歴も曖昧で中長期修繕計画を策定していない建物では、適切なメンテナンスが行われていないケースもあります。設備などの予防保全が不十分なことにより、突発的な不具合が発生する可能性が高まります。水漏れや電気系統の異常は、建物の劣化を示す重要なサインです。放置すれば被害は急速に拡大します。水漏れは壁や天井を損傷し、カビの発生や構造材の腐食を招きます。一方、電気系統の不具合は停電や火災のリスクを高め、住民や利用者の安全を深刻に脅かします。こうしたトラブルは突然発生することが多く、対応が遅れると修理費用が膨らみます。
*設備台帳とは、設備の名称、型式、設置場所、仕様、保守履歴などの情報を一元的に記録・管理する帳簿であり、設備の維持管理や更新計画を効率的に行うために不可欠な基盤データです。
設備台帳に関する関連コラム:「設備台帳とは?作成するメリットや記載項目・作成時の4つのポイント|特集|OGFA 株式会社 大阪ガスファシリティーズ」
2.修理費用の増大
中長期修繕計画を策定しない場合、突発的な不具合によるリスクの顕在化により、修繕費用が予想以上に膨らむ恐れがあります。例えば、漏水が広範囲に及べば、大規模な工事が必要になり、オーナーの負担が急増します。
3.住民や利用者への影響
トイレや給湯設備が使えなくなったり、停電でエレベーターが止まったりすると、日常生活や業務に支障が出ます。住んでいる人や利用者にとっても大きな不便が生じます。こうした状況は住民の不満やストレスを増やし、満足度の低下やクレーム、空室増加などにつながることもあります。
中長期修繕計画で安心な暮らしを守ろう
中長期修繕計画を立てていないと、前述の問題が発生するリスクが高まります。そのため、早めに中長期修繕計画を策定することが重要です。計画的に修繕を進めることでトラブルを未然に防ぎ、費用の平準化も図れます。また、資金を計画的に積み立てることで経済的な負担を軽減し、住民の安心感も高まります。
中長期修繕計画の策定は、建物を長期にわたり安全かつ快適に利用するための重要な手段です。
そして、中長期修繕計画を立てる際は、専門家に相談することが安心の第一歩です。専門家は建物の状態を正確に診断し、最適な修繕時期や内容、費用の見通しを示してくれます。専門家の知見を活用することで、無理のない計画を立てられ、トラブルを未然に防ぐことができるのです。
「中長期修繕計画」のご相談は大阪ガスファシリティーズへ
大阪ガスファシリティーズでは、オーナー代行サービス「UFM」の一環として、CM(コンストラクション・マネジメント)を提供しています。建物の劣化状況の診断から修繕項目のリストアップ、費用やスケジュールの策定まで、一貫した中長期修繕計画の支援を行っています。建物の特性やお客さまのご要望を丁寧に伺い、専門家の視点で最適なプランをご提案し、皆さまのご負担を軽減します。安心して使い続けられる建物づくりのパートナーとして、ぜひお気軽にご相談ください。
(中長期修繕計画に関する次回の記事では、中長期修繕計画と設備台帳の関係性についても取り上げる予定です。投稿の際には、ぜひそちらの記事もご覧ください。)
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